ふたつの顔

AA「ビッグブック」の第六章は回復のプログラム(12のステップ)のSTEP5にふれ、自分の過ちや弱点を認めた上で、その弱点を捨て去るための責任ある行動をとることの重要性と困難さについて説いている。

なぜ難しいのかと言うと、アルコール依存症者の特徴である二重生活 - 二重性格と言って良いかもしれない - が、自分の本当の弱点の吐露、その本質を認め人に話すことを妨げるからであると。
「アルコホーリクス・アノニマス」第六章より抜粋する。

たいがいの人と比べてアルコホーリクは二重生活を送っていると言える。アルコホーリクはなかなかの役者である。世間には舞台用の顔を見せる。人にそう見られたいと自分が望んでいる顔だ。人の評判を気にかけてもいるのだが、心の奥では自分にはそれほどの値打ちがないことを知っている。
酔っぱらっているから、二重生活ぶりはいっそうひどくなる。酔いからさめたとき、とぎれとぎれに覚えていることにぞっとさせられる。その記憶は悪夢の一種で、誰かに見られていたかもしれないと思うと身震いが出てくる。できるだけさっさとその記憶を自分の中に深く押し込んでしまう。日の目を見ないように願う。そしてそのために彼は絶えず恐れと緊張感にさらされ、飲み続けることになる。

STEP4・5を簡単に言えば、4で表を作り5で実践するということだろう。趣旨は単純だが、実際に己の弱点・短所・欠点を他者に語るということとなれば、頭が混乱し心が騒めき(カイジっぽく言えば「ざわざわ...」と)出すことになる。
しかし認めた以上は表を作り始めなければ、と思う。終わりがなくても書き、語り続けなければ、と思う。その行為そのものが霊的体験なのかもしれない。

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