心の病? 答えは脳だ!
アルコール依存症は心の病でしょうか? 答えはノーだ。
アルコール依存症とはエタノールによる脳障害です。
- 私の主治医/LU医師
アルコールや他の薬物依存または種々の嗜癖行動は、その報酬効果に伴う強い動機づけとともに反復摂取するこ とによって形成されていくが、それにはいずれも「脳内報酬系」が重要な役割を担っている。
依存性の薬物は、いずれも依存症者に「快感」を もたらすという共通の特徴を持つ。脳内報酬系とは、欲求が満たされた時に活性化し、その個体に快の感覚「快感」を与える神経系のことである。アルコールや薬物は、脳内報酬系に対して直接的あるいは間接的に作用することで、短絡的にアルコ ールや薬物によってもたらされる高揚感や恍惚感といった「快感」をもたらす。これらの「快感」が条件付け刺激となり、再び同様の快感を得たいという欲求が生じる。そして、さらなる快感を得るために同じ行為を繰り返し、ついには自己制御不可能の状態、すなわち依存症に陥ると考えられる。そしてこの快感を引き出すメカニズムが、「脳内報酬系」である。
脳内報酬系が活性化するのは、必ずしも欲求が満たされた場合のみならず、報酬を得ることを期待して行動をしている時にも活性化する。薬物摂取による急性の報酬効果は、動機付けに関わる神経回路からドーパミンが放出され、細胞内のシグナル伝達に変化を生じさせることから始まる。
依存移行期、薬物の摂取が、単なる「気晴らし」から「依存」へと移行していく過程には、神経の機能的な変化が深く関わっている。脳内報酬系の形成に深く関わるのは腹側被蓋野-側坐核のドーパミン系神経伝達であるが、その報酬を求めて現れる薬物探索行動では腹側被蓋野から前頭前野、扁桃体へのドーパミン系の投射が重要な役割を果たすとされる。また、薬物探索行動の誘因となる「渇望」については、扁桃体から 前頭前皮質や側坐核に投射するグルタミン酸系回路の関与が考えられている。
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