ウェルニッケ・コルサコフ症候群とは

ウェルニッケ・コルサコフ症候群=Wernicke‐Korsakoff syndrome

アルコールの長期摂取に伴うビタミンB1（チアミン）欠乏による脳神経障害、ウェルニッケ脳症とその後遺症であるコルサコフ症候群のことをウェルニッケ・コルサコフ症候群という。

チアミンが不足すると軽度から昏睡までさまざまな程度の意識障害、眼球運動障害、失調歩行などを特徴とするウェルニッケ脳症を発症する。眼球運動障害は眼球が全く動かないのが典型的で、細かい眼の振るえ（眼振）も含む。失調歩行とは小脳の働きが悪くなって立ったり座ったりしたときに体がふらついて倒れてしまったり、手足を思う通りに動かせなくなる症状のこと。チアミンを大量に点滴することで命は助かるが、放置すると死に至る病気。
命が助かっても約80%にコルサコフ症候群と呼ばれる健忘を特徴とする後遺症が残るといわれている。文字通り健忘を主とする病気で、理解力や計算などの能力は比較的保たれるが、記憶力が著しく低下する。病気になる前の記憶が失われたり、新しいことを覚えることができなくなることがある（記銘力障害）。今自分のいる場所がわからなくなる見当識障害（失見当識）が出現し、またそのような状況を周囲に悟られないようにつじつま合わせの会話をする（作話）ことがある。
重症の場合には記憶力以外の認知機能が低下して認知症と診断されるケースもある。